温故知新と不易流行

昨年12月の衆議院選挙後、多くの経済・政治・社会事象に転換点が訪れたと思っている。世界の競争環境の垣根が低くなる中で、日本人は日本人らしく、日本企業は日本企業らしく、変えてはならない独自の文化感を鮮明に持ち続けつつ、世の中の情勢の変化に対応していかないと埋没してしまいかねない。それを避けるためには、失われた20年で思考を重ねてきた戦略(やりたいこと)を、極めてスピーディに行動に移すことであろう。そのための20年であったと信じたい。

中国企業もチャイナプラスワンか

中国の製造業が東南アジアへの進出を加速しているとの報道があった。アパレル製品では、タイやバングラディッシュといった国名は目にする機会が増え、シフトしているという認識を持つが、自動車や建設機械、素材産業でもその傾向が明らかになっているようだ。成長市場の需要を取り込もうという戦略かもしれないが、中国製造業の人件費の割安感が薄れ、労働問題も目立つようになっているなかで、着々と製造ノウハウを積み上げ、しかも人件費がさらに安いカンボジア、バングラディッシュ、ミャンマーの魅力が大きく高まっている。中国労働市場の透明性と労働者の価値観が問われようとしている。

ABCマート、のれん10年償却

エービーシー・マートの連結営業利益が9ヵ月決算として過去最高となった。売上高が前年同期比14%増となったことが主因だが、結局消費者ニーズに合った商品をタイミング良く販売したことにつきよう。家の中でも靴をはく欧米文化が日本の先をいくのか、9月に米靴メーカーのラクロス社を買収した結果、のれんが約75億円発生するとのことで、これを10年で償却する方針だ。マーケットシェアが高く、のれんの価値が持続するとの考えがあるのであろう。

海外展開とM&A

日本経済新聞に、社長100人アンケートが掲載された。それによると、半数以上が海外での生産規模を拡大させると回答しているようだ。地域的にみると、チャイナ+1としての東南アジアが84%と圧倒的に高く、次いで、中国が40%強と高くなっている。生産拠点はチャイナ・リスクの観点から中国以外を選択するという考え方が多数を形成しているようだが、消費市場としての中国の重要性も引き続き認識されている。また、海外での生産拠点の確保という観点だけではなく、成長市場を取り込むという考え方から、先進国、新興国問わず海外企業のM&Aや国内企業の再編を考える経営者が多いようだ。超円高の修正が期待されるとはいうものの、生き残りをかけた戦略の実行がより重要となっている。

事業の新陳代謝と成長分野

モバイル革命によって、先駆者もあっという間にキャッチアップされてしまう環境になっている。日本で新政権が誕生し、経済対策が最大のテーマに掲げられているが、需給ギャップが解消されないなかで、景気刺激策をうっても、日本の供給サイドに実需が流れる保証はなく、結局は実需が海外に流出してしまうのではないかと危惧している。やはり、需要が日本の供給サイドに流れるには、日本独自が優位に立てる成長分野を創出しないといけないだろう。それは、デジタルとか大量生産型とかではなく、そう易々とキャッチアップされないアナログとかニッチとか繊細等を支える技術がキーワードになるのかもしれない。

スマホによるモバイル革命

コンピュータが大型から小型に、そして持ち運び可能な状態、さらには手に収まる状態に進化するにつれ、その主役は見事に入れ替わりつつある。圧倒的なパソコンソフトのシェアを持っていたIT巨人がもはや後塵を拝すなど、スマホがもたらしたモバイル革命の驚きはとどまるところを知らない。これは、製造業におけるEMSの登場と伝統的な製造業にも似ている感がある。今後は、金型いらずの3Dプリンターがどこまで製造業を変えていくのか注目だが、その原動力もスマホとなっている。様々な分野の新たなベンチャー企業が大きなチャンスを迎えている。

日立製作所がインド投資を本格化

日立製作所がインドに対して向こう3年間で700億円を投資するようだ。設備投資やM&Aに向けられるが、分野についてはインフラ事業に集中するとみられる。インドは、地勢上アフリカ大陸にも近く、人口も増加傾向を辿るなど成長が見込まれる有望市場だが、電力不足や高金利による資金の調達といった点で課題を抱えている。こうした課題克服に向けた今回のような取り組みは、他の日本企業にも広がるだろうと想定される。

パナソニックが三洋電機のデジカメ事業を売却

パナソニックは2009年12月に三洋電機を子会社化したが、その後重複事業の整理統合を進め、デジカメ事業をファンドのアドバンテッジパートナーズに売却する方向で検討していることが明らかになった。3年かけて、半導体、モーターおよび白物家電などに続き、デジカメを整理することになる。環境が変化したとはいえ、株式取得に支払った対価と選択という名の下の事業整理による損失は、戦略として何だったのであろう?

コニカミノルタが独システム会社を買収

ドイツの中堅・中小企業向けにITを使った業務プロセス改善サービスを手がけるラーバー・アンド・マーカー社の過半数株式を約30億円で買収する。コニカミノルタのブランドは欧州で強みを発揮しており、最近のM&Aはこうしたブランド力を武器に欧州企業が中心となっている。

サントリーが飲料会社を上場へ

サントリーは持株会社制度を導入しているが、ついにその中核的な飲料会社を上場させる。ビールなどの酒類事業会社については、引き続き株式非公開を継続する。資本市場から調達した資金はM&Aに向けられるとの方針のようだが、一方で財務基盤を強化させるという意向も働いているようだ。円高と低金利状態の修正を見越しているのか?