家電量販店大手のノジマは、業種の枠にとらわれないM&Aを推進している。パソコンのVAIOに加えて、FX大手やアニメ専門チャンネルにも手を伸ばした。
2025年3月期の売上高見通しは10年前の実に3倍だ。「困ったらノジマ」。M&A仲介会社や金融機関、ファンドは駆け込み寺と位置付ける。野島社長は「嬉しい事。どんどん案件を持ってきて欲しい」と歓迎する。買収の基本方針は「当社にない部分や弱い部分を補えるか。可能性を感じるか」どうかで、100社中3社程度は手を挙げるという。田島穣顧問も「ノジマ以上にM&Aの判断が速い企業はない。社長はスピード重視の即答スタイル。相手も交渉しやすいのでは」と自負している。
しかし当然失敗もある。00年代を中心に規模拡大のため相次ぎ買収したが、11年までに十数社を売却・解散・吸収合併した。資本業務提携したスルガ銀行は経営方針の違いから22年に全株を売却した。そのような失敗を経て学んだ1つが「買収先の経営者や社員の愛社精神を見極める事。失敗した際に自分の責任と捉え、取り返そうとする愛社精神のある人間は結果を出すし、会社を辞めない」と言い切る。
そして異業種買収では思わぬシナジーを生む事もある。横浜アリーナで開催されたアニミックス共催のアニメ音楽イベント「アニマックスミュージアム」約1万人のファンの心をわしづかみにしたのが物販コーナー。来場者は物販コーナーが充実していると評したが、公式グッズのTシャツやベースボールシャツはノジマ傘下の通販大手セシールと開発した商品などが並ぶ。結果、Tシャツ生産量は前年比で5割増えた。今後もノジマから目が離せない。(千)