M&Aを行う上で最も重要な要素の一つがPMIと言われている。買収した後に人材(技術やノウハウ)の交流やシステムの統合、販売ネットワークの相互活用等が機能しなければそのM&Aは失敗だとみなされよう。
M&Aを積極的に行う日本電産の永守会長は直接、現場との対話を通じて、士気を高めることが重要なカギだと話している(2017年8月5日付け日経新聞)。
一方、コベルコ建機と旧コベルコクレーンが2016年4月に統合したケースでは、社風や仕事のやり方の違いが特に大きかった開発・生産部門の統合を図るために、両社から若手・中堅社員を選抜してチームを結成。議論を重ねながら、有効なマーケティング制度や士気を高めるための人事制度を取り入れたという具体例もある(2017年6月19日付け日経産業新聞)。
破綻した米ウエスチングハウスの再建を主導する米コンサルティング会社、アリックス・パートナーズのサイモン・フリークリーCEOによると、M&Aの成否を握るカギは「目的の明確化、投資先の緻密な資産・負債の査定、買収後のPMI」であり、特に重要なのが買収先のガバナンスを効かせることだとしており、そのためのPMIが非常に重要だと指摘している(2017年6月2日付け日経新聞)。
ただ、私見ではあるが、PMIと同じように重要なポイントがあると痛感している。
それは、M&Aの交渉段階で対象会社の内容をよく知る売り手と買い手との間で、買収後のシナジーの出し方を含めた経営方針について議論を重ね、コンセンサスや買い手としての目指すシナリオをM&Aの実行前に得ておくことだと考えている。
この段階でコンセンサス・シナリオが得られなければ、M&Aの検討を終了させれば良いし、コンセンサス・シナリオが得られるのであれば、M&Aの実行後にスムーズなPMIに移行できるのではないかと考えている。
M&Aの検討機会があった場合には、この点を思い出していただきたい。(千)