日本経済を支える中小企業の消滅の危機は現実のものとなるかもしれない。経営者の平均年齢は2015年に66歳となった。事業承継やM&Aによる企業の譲渡が満足のいく形で円滑に行われなければ日本経済の未来は暗いと言わざるをえない。会社を売る事は「身売り・従業員への裏切りだ」などと考える経営者は少なくないはずだ。しかし高齢となって気力・体力なども衰え、会社の成長の為の積極的な行動を起こせずにいれば、いずれは廃業や雇用喪失といった社会的損失にも繋がる可能性があり、それこそが「本当の意味での従業員に対する裏切り」となる。そのような不測の事態を引き起こさない為にも、早目に事業承継やM&Aを検討することがその企業や従業員にとっての「幸せ」や「成長」などを繋がる。その事例を以下に挙げてみる。
(1)ある企業Aのオーナーは株式譲渡をした後、従業員として働いている。これまで経営者として常に行ってきた売上、手形や入金、契約などの業務からくる不安やプレッシャーから解放されのびのびと仕事をするようになったと報告されている。
(2)ある企業Bの場合では共同仕入れを増やす事で原価を下げる事ができ、外注していた物流なども買収企業の物流網を活用、効率化とコスト低減を実現し被買収企業の従業員の処遇も改善し高いモチベーションが生まれ社員にとっても良し、企業にとっても良しのM&Aと報告されている
(3)後継者のいない企業Cは大手企業に株式譲渡を実行、その後は事業規模の拡大により引き合いが増え社員は新たな仕事に触れる機会が増え成長を実感しているとの事。
2016年6月6日の日経新聞によると、M&Aを含め、経営者が変わった企業の利益率は高くなる傾向がある。07~08年度に経営者が交代した企業の14年度の経常利益率は1.88ポイント上昇し5.5%、これに対して、交代しなかった企業は3.3%と1.16ポイントの改善にとどまったとの調査結果もある。
最近では頻繁に事業承継に関する話題が取り上げられている。以上の実例をご覧になっていただき少しでもM&Aや事業承継に対する理解を深めていただければ幸いである。