2025年3月期のROEは8.6%と前期から1.2ポイント下落と2年ぶりに下がる見通しだ。これは、東証プライム上場の3月期決算企業の約1000社の推計である。ROEは10%以上が優良企業と言われているが、米S&P500種株価指数の構成銘柄では約20%に達し、8%台で推移する日本企業との差は大きい。
私自身も上場企業のアナリスト向け決算説明会には度々参加しているが、企業が掲げるROE目標は「8%」と無難な目標を掲げる企業が多いのが実情である。正直なところ5年前から言っている事が変わっていないのが肌感覚としてあるのは残念な点である。分子である利益を拡大してROEを高めることは大事な視点である事は事実だが、日本の企業はこれまでその点だけを重視してきた側面が強いと思う。
国内市場は人口減少による縮小や、規制改革がなかなか進まない保守的な経済的土壌がある中、利益だけを追い求める経営ではジリ貧になるのは目に見えているし、それが更なるROEの低下に繋がるのは火を見るより明らかだ。国内市場の活性化のためにも多すぎる企業の合従連衡型のM&Aや、設備投資、人材投資などにもっと資金を振り分ける戦略の転換が企業に求められている。それを後押しする為の政策に着手し、その推進を政治に求めたい。(千)