専制主義国家における事業リスク

今回のロシアのウクライナ侵略は日本企業に短期と長期で課題を突きつける。目先はロシアでビジネスを続けるかどうか。長期では中国が仮に似た行為に出た場合に中国ビジネスをどうするかという岐路が待つ。

ロシアのウクライナ侵攻から1ヶ月が経ち、3月24日時点でロシアに進出する主な168社の内の約2割の日本企業の37社がロシア事業を停止・縮小した。原材料の調達先をロシア以外に切り替えるなど供給網を見直す動きも出てきた。

目先の利益だけを盲目的に追求するビジネスモデルではなく、その国及びその国の企業と合弁で本当にビジネスを行っていくべきなのかまでしっかりと見極める必要性が今回のロシアによる侵略により浮き彫りになったと言える。

 ただ、3月24日の日経産業新聞によると、この後に及んでも目先の利益だけを考えているように思われる発言をしたのが電気事業連合会の池辺和弘会長(九州電力社長)で、「日本は島国でエネルギー資源に乏しい。なのでロシアへの経済制裁は慎重に議論すべき」だと発言した。

資源に乏しいのは間違いないが、経済制裁の有無を議論するのではなく、国の重要なエネルギー資源の与奪権をロシアのような専制主義国家に握られていたままでは日本にとって明白な安保リスクだという点を再認識して、ロシアに依存しない体制づくりを議論すべきであって、同会長においてはこれだけのリスクが発現したのだから発想の転換が必要だということが指摘されていた。

さらに、3月26日の日経新聞では、社長100人アンケートで中国による台湾侵攻など「台湾有事」に聞いたところ「懸念が大いに高まる」(7.4%)「多少高まる」(56.8%)と合計6割を超えていると報道されている。

日本人、日本企業は事あるごとに検討することが好きのようだが、同じ専制主義国家で多くの日本企業もビジネスを行っている中国対して危機感を持ち、どのように対応するのか懸念を抱くだけではなく、予め答えを用意しておくべきだ。(千)