カーブアウトは大企業や中堅企業が親会社からの出資や支援や、ファンドなどの外部組織から投資を受け、技術や人材など事業の一部を外部に切り出し、新会社として独立させて事業価値を高める経営手法である。2つの手法に大別される。
近時では武田薬品工業の事業を一部切り出したファイメクスの設立や英CVCキャピタル・パートナーズによる資生堂の日用品事業の買収などが挙げられる。スピンオフとは親会社が事業を別会社として切り出す際に、親会社から出資を受けて独立し、資本関係を継続させる手法である。スピンオフの実質的な第1号案件は2021年の東芝による事業3分割と言われているが、それ以前には博報堂傘下のSNSマーケティングを手掛けるスパイスボックスが人材採用マーケティング支援事業を2018年にスピンオフさせたNo companyなどが挙げられる。ちなみに米国では1990年代から欧州でも2000年代には一般化しコングロマリットの解体などに多用されている。
スピンアウトとは技術やビジネスアイデアを持った社員が、事業の発展を目指して退職し、それを基に起業する場合がスピンアウトに当たる。こちらは親会社と資本関係を継続させず、完全な独立企業とする方法。また、不採算事業を分社化し売却される例もある。ブリヂストンが防振ゴム、化成品ソリューション事業の売却がそれに当たる。
一方、DeNAは社員の独立やスピンアウトを後押しする第3のキャリアパスを用意している。DeNAの場合は2019年に設立したベンチャーキャピタルを通して社員が立ち上げたスタートアップに出資・投資する形をとっている。このような人材が起業に成功すれば、DeNAは投資のリターンも得られるし、提携先としたりM&Aしたりといったチャンスが広がる。
スピンオフやスピンアウトという経営手法ひとつとっても日本と海外の間には20~30年遅れという大きな時差が存在している。このような手法が更に日本でも受け入れられて、必要な事を当たり前に行う事ができるビジネス環境の醸成や経営者の思考の変化により一層期待したい。(千)