独占禁止法とM&A

日本企業が成長の活路を求めて、海外進出する例は過去に比べたら格段に増えている。その上でM&Aは有効な手段となるが、国境をまたぐM&Aを行う場合にも独占禁止法に備えた対応策が必要である。

中国は独占禁止法の施工から2018年で10年を迎えたが、それは独占を防ぐ本来の目的からそれ、産業政策の道具に使われているとの批判がつきまとう。米国に関しても安全保障を理由に介入姿勢を鮮明にしており、海外M&Aにおいて不透明感が漂っている。

対応策の例としては大陽日酸が2018年に米プラクスエアの産業ガスの欧州事業を買収した際、米プラクスエアは独リンデと合併を進めており、その中でプラクスエアは欧州における独禁法審査の結果、欧州事業の一部切り離しを迫られていた。

それによって、大陽日酸は米プラクスエアの欧州事業を買収できた訳だが、日本企業が海外に成長の活路を求めて海外M&Aを行う際にも、今回の米プラクスエアのケースのように、独禁法審査に備えて事業の一部切り離し等も厭わない覚悟でM&Aを検討・実行していく必要があろう。

 日本企業には、まだまだ事業や子会社の売却に積極的ではない面が散見される。海外企業と比べた時に、M&Aへの認識や企業風土が根本的に違うかもしれないが、場合によっては、市場に大きな影響を及ぼす戦略的な買収や売却には、目的を達成するための柔軟な対応策が必要であると認識しておくべきだ。(千)