昨今の経済状況は非常に不透明で且つ様々なリスク要因も孕んでいる。今年1月20日に就任予定のトランプ大統領誕生後の世界経済の行方も然りであろう。また、設備能力の過剰と過当競争に直面する日本企業は少なくはない。様々な業界で再編が行われそしてその機運も高まっている。日本企業は国内経済のシュリンクやグローバル競争をにらんだ再編を早期に検討する必要がある。
2016年特に再編の波が押し寄せたのは海運業界であろう。日本郵船と商船三井、川崎汽船の大手3社がコンテナ船事業を統合すると発表し2018年4月から共同出資会社にて事業を始める。※2016年11月1日 日経テレコン 海運
世界経済の鈍化や資源安で需要が低迷する一方、コンテナ船の過剰生産により運賃は歴史的な低水準にある。企業が地産地消を進めた事も貿易量の減少に繋がり構造的な問題を抱えるようになってしまった。逆風下のグローバル競争を勝ち抜く為に避けて通れない道が3社統合だったといえる。
2017年のトランプ大統領誕生後にはアメリカ国内での再編の機運が更に高まる可能性がある。米携帯4位のスプリントによる同3位のTモバイルUSの買収を断念させた米連邦通信委員会(FOC)のメンバー選びを政権移行チームにトランプ次期大統領が指示、新委員長が誕生しこれまでとは違う業界の流れが起きるかもしれない。ソフトバンクの孫正義社長が2016年12月7日にトランプ次期大統領と会談したのはその布石ではないかとも言われている。
再編機運で盛り上がりを見せているのは通信業界だけではなく、米医療保険業界でも3位のエトナと4位のヒューマナの統合観測により株価上昇という形で盛り上がりを見せている。
このような再編により競争力の拡大をスピーディな形で展開していく米企業に対して、残念なのが日本の石油大手同士の合併・統合の機運を削ぐ創業家の存在である。企業風土の違いや創業家としての考え、様々な思いから反対する気持ちも理解はできるが、会社の事を創業家として考え、長期的に真に会社を永続させたいと願うのであれば英断も必要である。
国内市場の縮小やグローバルメジャーに対抗していく為には2017年4月に統合予定のJXホールディングスと東燃ゼネラルのようにスピーディな意思決定と決断が必要である。
日立製作所を再生させた川村隆前会長は「業績が悪くなってから再編しても効き目は薄い。余裕のあるうちに先を見据えて手を打つのが重要」と指摘する。石油大手の統合難航の話だけではなく日本国内では同様の事例は多いと思われる。再編機運の高まりだけではなく実行に移す事が最も重要である。(千)