東京証券取引所は12月に親子上場に関して対象企業となる1000社超に上場子会社を持つ意義や、子会社の独立性確保の為の取り組みなどについて情報開示の拡充を求めると発表した。「親子上場」は、親会社が企業グループとしての利益を優先する事で子会社に不利益になるような経営を進めても、子会社の少数株主がその決定を覆すのは難しいなどの問題が指摘されている。
少数株主の利益を脅しかねない親子上場には相応の説明責任を求め、市場全体の魅力向上に繋げるということが根底にある。親会社側には、子会社を持つことになった経緯や、それらの上場を維持しておくことの合理性などの説明を求める。子会社の役員指名プロセスへの関与方針や、役員の選解任議案での議決権の考え方なども示す必要がある。
子会社側には、グループの事業ポートフォリオにおける自社の位置付けを示し、グループ会社間で資金管理をしている場合にはその意義の開示を要請する。上場各社は取り組み内容を、東証に提出するコーポレートガバナンス報告書に記載する必要が出てくる。
日本市場の取り組みに対して海外マネーも注目している。「親子上場の解消」というテーマで日本株投資を長年手がけている、セクターアセットマネジメント(ノルウェー)運用責任者のトロンド・ハーマンセン氏は「日本企業が青写真とすべきなのは日立製作所だ。優先順位の低い事業の子会社売却で資金を手に入れ、優先順位の高い事業で買収して選択と集中を進めてきた。これが成功の戦略だ。」と話す。
しかし問題はある。東証によると、親子上場に厳しい目が向けられるようになり、上場子会社は22年時点で約260社と4年間で18%減少した。ところが、発行済株式の20%以上50%未満を保有する大株主を持つ上場会社は22年時点で約960社と、4年間で27%増えた。
こうした事実関係が東証が上場企業に開示拡充を求める背景になっている。PBR1倍割れ問題の解消や親子上場問題の解消など資本効率改善への取り組みを通じて市場の魅力向上を推し進めていく中で、取り組みを形骸化させないためにも上場企業はこれまでよりも積極的に行動する必要がある。