これからの時代は買収先の人権審査も必要になってくる可能性が高い。米中摩擦などを背景にした規制強化や、社会や投資家の意識の高まりを受け、企業価値の影響度が増しているためである。国際的なM&Aを手掛けるネルス・ハンセン外国法事務弁護士は『まさに今日、環境問題や人権問題は企業価値に直結する。リスクを事前に把握し、買収価格に反映させたり、案件の是非を判断したりする為にESGの観点からの精査は必須』と話す。
パナソニックにおいても2021年4月に公表した、米ソフト大手のブルーヨンダーの完全子会社化案件でもESGの観点を踏まえたコンプライアンス精査には通常以上に力点を置いたとの報道がある。
しかし、クロスボーダーの案件で、対象企業からさらに国を跨いだ子会社のあらゆる調達網まで買収時に確認するのは難しい。対象企業の順守体制の確認や調査会社などを通じてリスクの程度を把握し、『法令違反はない』という表明保証を売り主につけさせるしかないのが実態だ。(千)