資本効率が問われ始めた日本の上場企業

東京証券取引所は2023年春からPBR(株価純資産倍率)1倍割れのプライム市場、スタンダード市場の上場企業に対して改善計画の開示を「強く」求める。PBRは企業価値を表す指標の1つで、企業が持つ純資産に対して、市場が付けた価額(時価総額)が何倍あるかを見る。

大日本印刷は2月10日に発表した中期経営計画で資本効率の改善に向け株主還元を強化すると明言、PBRが過去10年で一度も1倍を超えたことはないが、PBR1倍超を目指すという次期中期経営計画の発表が功を奏し、一時前日比18%高と急騰した。同業の凸版印刷も一時10%高、PBRが0.3倍の神戸製鋼所や0.5倍の日本板硝子など、割安株の上昇が目立った。

大日本印刷の株安については「なぜこれほど競争力の高いビジネスを持つ優良企業の株が信じられない安値で放置されているのか」複数の関係者によると米アクティビストのエリオットマネジメントは1年以上にわたる詳細な調査を経て大日本印刷の株を取得したという。大日本印刷の変身には、2つの外圧が強く影響したのは間違いないと思われる。アクティビスト投資家のエリオットの株式取得と、東証の新方針だ。

東証によると、2022年7月時点で東証株価指数500構成銘柄のうちPBR1倍割れの企業の比率は43%と米S &P500種株価指数の5%や欧州ストックス600の24%よりも圧倒的に多い。以前から集めた資金を有効活用できていない上場企業が多いとして投資家から問題視されていたが、東証が改善計画の開示を強く求める方針を示したことで日本企業の資本効率に対する取組みは新たなフェーズに移ったといえよう。

株式市場での負け組にならないためにも、日本企業は事業ポートフォリオの変革を始めたとした様々な取組みを通じて収益性を向上させつつ、不要と思われる非効率的資産の売却などを通じた資本効率の向上を目指していく必要性に迫られている。(千)